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ノロウイルスについて


10月に入り、幾分残暑も和らぎ過ごしやすい日が多くなりました。
冬に近づくにつれ外気温が下がり細菌は繁殖しづらくなりますが、その一方でウイルスの感染力が強まる傾向にあり注意が必要となります。

特にウイルス性感染症に代表されるノロウイルスは10月から3月頃がピークとなり長い期間で流行が続きます。
非常に感染力が高く感染者から簡単にうつってしまうので、1件あたりの感染者数が多くなる傾向にあります。
厚生労働省の統計によれば令和4年度ノロウイルス感染症の事件数が63件とアニサキス、カンピロバクターに次ぐ原因別発生件数第3位となっておりますが、感染者数が2,175人にも上り原因別感染者数は第1位と大規模な集団食中毒も起こしてしまう強力なウイルスです。

今回は冬季に流行するノロウイルスについて、ご紹介いたします。

感染経路
感染経路は大きく分けて食品からの感染と人からの感染があります。

食品からの感染は近年感染例が少なくなりましたがノロウイルスを貯めこんだアサリや牡蠣などの二枚貝を生や過熱不足で食べたり、消毒が不十分な井戸水を摂取してしまうことで感染し食中毒を引き起こしてしまいます。

人からの感染は感染者の嘔吐物などを処理した時に手指に付いたノロウイルスの経口感染、嘔吐物などに触れていなくても感染者が触れたドアノブやテーブルを介して感染してしまいます。
他にも感染者による嘔吐物などを処理した方が手指にノロウイルスが付着した状態で調理を行い、食品や水などを汚染してしまい喫食者が感染してしまうケースもあります。

人からの感染で気を付けなければならないのは「不顕性感染者」が存在することです。
不顕性感染者はウイルス性感染症を発症しているか見分けることが非常に難しく、症状がなくとも人へうつしてしまう可能性があります。

症状
感染からおよそ24時間~48時間後に下痢、嘔吐、腹痛、発熱などの症状が現れます。
通常2日ほどで快方に向かいますが、子供や体調不良で免疫力が弱まっている方などは重症化や脱水症状を起こしてしまうこともあります。

なお、ノロウイルスに有効な抗ウイルス剤は現在無いため対症療法を行います。
症状が出た場合は体力を消耗しないよう安静にして、水分と栄養の補給をしっかり行うようにしましょう。

対策方法
手洗いを行い手指に付いている汚れやウイルスなどを洗い流すことが重要となります。
外出後と調理前は必ず手洗いをしてノロウイルスを洗い流しましょう。
特にトイレの後や感染者による嘔吐物などの処理をした後はノロウイルスが手指に多量に付着している可能性があるため、2度手洗いを行い手指のウイルスを洗い流すことを心がけましょう。

更に、手洗いと併せて消毒作業を行う事でより効果的にウイルス対策を行う事ができます。
消毒作業というとアルコールを使われることが多いと思いますが、ノロウイルスにアルコール消毒の効果は薄いとされています。
次亜塩素酸ナトリウムを含む除菌水が消毒効果も高く市販されているので手に入りやすいです。
又は家庭用の塩素系漂白剤を0.05%~0.1%まで希釈し拭き上げることで消毒が可能です。
注意点は時間が経つと塩素濃度が薄まり消毒成分が弱くなるため、一度作ったら使い切ることを心がけましょう。

また、一般にウイルスは熱に弱いとされています。
ノロウイルスも食品の中心温度を85℃以上で90秒以上加熱することで、失活化すると言われています。
ただし、他の食中毒を引き起こすウイルスと比べると熱に強い耐性があるため、加熱が不十分だと失活化しないので中までしっかりと加熱していることを確認しましょう。

最後に
ノロウイルスは感染力が高く、集団食中毒を起こしてしまうこともある大変危険なウイルスです。
平成26年にはノロウイルスを保有していた調理従事者が給食製造に携わり、給食を食べた児童と教職員合わせて1271人が感染してしまう集団食中毒事件が起きた事例もあります。
今回紹介した事例はノロウイルスを保有していた調理従事者による食品の汚染が原因でしたが症状を伴わない不顕性感染者だったため、事前に体調不良であるかの申告もなく感染しているか見抜くのが非常に困難な状態でした。
不顕性感染者は定期的な検便検査を行う事で早期発見に繋がります。
厚生労働省の集団調理マニュアルにおいても、10月~3月の間はノロウイルスの定期的な検査の実施が推奨されております。
弊社のノロウイルス検査は最短で「当日受付、当日報告」も可能な精度の高い検査を行っておりますのでぜひご活用ください。

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