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セレウス菌について

今年9月に全国で500人以上の患者が確認された、お弁当による大規模な集団食中毒が発生したことは記憶に新しいところだと思います。
その後の保健所の調査の結果、発症者の便や製造されたお弁当から黄色ブドウ球菌及びセレウス菌が検出されたとのことでした。そして推定される原因については、外部に製造委託した「ごはん」を仕入れた際、温度管理などを徹底していなかったことで原因となる菌が増殖した可能性があることなどが挙げられていました。

やはり食の安全を守るには、徹底した衛生管理が極めて重要であると改めて認識を強く持たれた方も多いかと思われます。

それでは、この度の食中毒の原因菌とされている黄色ブドウ球菌とセレウス菌とは一体どのような菌であるのか、今月と来月の2回にわたりご紹介いたします。今回はセレウス菌についてです。

セレウス菌の特徴
セレウス菌は土壌や河川などの自然界に広く存在している細菌です。食中毒の症状しては嘔吐型と下痢型の2種類に分けられます。日本国内においては嘔吐型の割合が多く、食品中でセレウリドと呼ばれる毒素を生成することによって引き起こされます。
また、通常の細菌は熱を加えることで死滅する場合が多いのですが、セレウス菌の特徴の一つとして、耐熱性の芽胞(熱に強い殻のようなもの)を作り、これにより90℃以上で60分以上加熱しても完全に死滅させることが困難となっています。なお、セレウス菌が生成する毒素のセレウリドも耐熱性が高く、126℃で90分間の加熱でも失活化しないと言われています。

原因食品
セレウス菌食中毒の原因となる食品としてチャーハンやピラフ、スパゲティーや焼きそばといった米や小麦などの穀類メインの食品であることが多く見られます。セレウス菌は耐熱性の芽胞を形成します。そのため加熱調理をしても完全に死滅させることができず、適切な温度管理下に無い中で放冷・長時間の保存をしてしまうと生き残った芽胞が発芽することで増殖し、食中毒を引き起こしてしまいます(増殖至適温度は28~35℃です)。
過去の事例を見ると、2008年(平成20年)に前日に調理し、1日室温放置したチャーハンを喫食しセレウス菌に感染した3名のうち1名が死亡してしまう事故も起きています。

症状
「嘔吐型」・・・潜伏期間は30分~5時間。吐き気、嘔吐が主。腹痛や下痢を伴う場合もあり。発熱はあまり見られない。
「下痢型」・・・潜伏期間は6~15時間。下痢が主症状となる。腹痛を伴う場合もあり。
※嘔吐型、下痢型ともに大半は軽症で済むことが多いですが、下痢型の場合で免疫力が下がっていたり抵抗力の弱い人が感染すると、まれに急性肝不全を起こすことがあります。

予防・対策
食中毒予防の3原則は「付けない」「増やさない」「やっつける」となっています。セレウス菌は自然界に広く分布しているため食材への汚染を防ぐのは難しく、また、耐熱性の芽胞を形成することや産生された毒素を通常の加熱によって死滅・失活化させることもできないことから、3原則の中の「増やさない」に重点を置き、調理後に菌を増殖させないよう食品を取り扱うことが重要となってきます。以下にポイントを2点記載します。

⑴大量調理を控え、調理後の食品はすぐに提供・喫食をする
1回の食事で食べきれる分を調理する。そして加熱調理後は常温で放置せず、すぐに提供・喫食することが重要です。また、食品を提供する施設においては施設の調理能力を把握して、能力以上の受注を受けないことも大切です。無理な受注は食品の放冷不足をはじめ、衛生管理が行き届かずに食中毒事故を引き起こす危険性が増大しますので注意しましょう。

⑵調理後の保管温度に気を付ける
セレウス菌は28℃~35℃が増殖至適温度と言われています。調理後すぐに提供または喫食しない場合には8℃以下での低温保管か、保温庫がある場合は55℃以上で保管しましょう(低温保管する際は小分けにすることで冷却時間を短縮することができます)。

最後に
穀類の食品を中心に繁殖しやすいセレウス菌。
食品に付着している微生物によっては、人の体に害を及ぼしてしまう危険性がありますが目で見ることができません。
食品検査を行う事で食品の安全性を視覚化、数値化することができるようになります。
また、定期的な食品検査を行う事で調理場の清掃や調理従事者が衛生的であったかなどの指標にすることもでき、従業員の衛生に対する意識を向上させていくことも可能です。
弊社の食品検査はセレウス菌だけでなく主な食中毒菌と言われるサルモネラ属菌、黄色ブドウ球菌、腸管出血性大腸菌など様々な微生物の検査が行えます。
ご依頼頂く食品に合わせた検査内容のセットもご提案が可能ですので、ぜひ弊社の食品検査をご活用ください。

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