ノロウイルスは経口感染することで嘔吐や下痢などの症状を引き起こします。
最近では湧き水の源泉を飲用したことで集団食中毒事故が発生しました。
通常ノロウイルスの感染はカキなどの二枚貝の喫食、感染者からの飛沫感染が原因となることが多いです。
しかし今回のような自然環境が汚染されることによる集団食中毒は大きな話題を呼びました。
市販されている天然水とは違い、湧き水や河川の水は殺菌処理がされていません。
熱を加えずそのまま飲用することは大変危険だということが周知された事故と言えるでしょう。
今回はノロウイルス感染症の特徴と対策についてご案内します。
(本記事は過去の記事をブラッシュアップし、最新のデータを掲載したものです。)
ノロウイルスについて
外気温が下がり空気も乾燥しやすい秋から春先までと長い期間で流行が続きます。
ノロウイルスは感染力が高く、感染者から簡単にうつってしまうため集団食中毒を引き起こしやすい強力なウイルスです。
厚生労働省から発行されている大量調理施設衛生管理マニュアルによると流行期となる10月~3月の間は、月に1回以上のノロウイルス検査に努めることを推奨しています。
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000168026.pdf
(厚生労働省 大量調理衛生管理マニュアルPDF URL)
令和4年に引き続き令和5年の原因別感染者数も第一位となる5502人で、令和4年の2175人から2倍以上も感染者が増えている感染力が強いウイルスです。
さらに、令和6年の感染者数は11月1日時点で令和5年の感染者数を超えていて例年よりも早いペースで流行しています。
※こちらのグラフは厚生労働省 ホームページ 食中毒統計資料を参照し作成しています。
厚生労働省URL(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/04.html)
感染経路
感染経路は大きく分けて2つあり、食品からの感染と人からの感染があります。
食品ではノロウイルスを溜め込んだアサリやカキなどの二枚貝を生や加熱不足で喫食することで感染します。
また冒頭で紹介した湧き水のように消毒が十分にされていない飲用水などを口にすることで、感染してしまう危険性があり注意が必要となります。
人からの感染は感染者の嘔吐物を処理した時に手指についたノロウイルスの経口感染の他、感染者が触れたテーブルやドアノブを汚染させてしまい感染することも少なくありません。
そして、人からの感染で注意が必要なのは「不顕性感染者」が存在することです。
不顕性感染者とはウイルスや細菌などの病原体に感染していても症状を有さない方のことを指します。
しかし、症状は出ておらずとも1週間から1カ月程度ウイルスを排出しており、新たな感染源となる恐れもあります。
症状
ノロウイルスに感染後、24~48時間後に下痢、嘔吐、腹痛、発熱などの症状が現れます。
2日ほどで快方に向かいますが子供や体調不良などで免疫力が弱まっている方などは、重症化や脱水症状を起こしてしまう方もいます。
なお、ノロウイルスに有効な抗ウイルス剤は現在無いため対症療法を行います。
症状が出た場合は体力を消耗しないよう安静にして、水分と栄養の補給をしっかりと行うようにしましょう。
対策
ノロウイルス食中毒予防の4原則
「持ち込まない」
ノロウイルスに感染している方が調理した食品を喫食することで多くの方が2次感染してしまいます。
ノロウイルスを調理場へ持ち込まないことがノロウイルス感染予防の上で重要となってきます。
特に腹痛や下痢、嘔吐の症状があった場合は食品を取り扱う作業を行わないようにしましょう。
「つけない」
外出後やトイレ後などは手指が予想外に汚れているものです。
ノロウイルスだけでなく様々な微生物が付着しているため、手指の手洗いと消毒は食材の汚染を防ぐ有効な手段となります。
手洗いは調理場からの出入り時に必ず行いましょう。
特に爪の間や手のしわなどにウイルスが残りやすいため、ハンドソープを使用し残りやすい箇所を念入りに洗うことを意識しましょう。
※厚生労働省 正しい手洗いの方法より引用(https://www.mhlw.go.jp/content/hthw1.pdf)
「やっつける」
ノロウイルスを死滅させるには、85~90℃以上の加熱を90秒以上行うことが必要です。
安全に食事をするために中心部まで加熱して食事の提供をしましょう。
「拡げない」
ノロウイルス感染症が施設内にて発生した場合は、迅速な消毒作業や処理作業が行なうことが重要です。
感染者に食事を提供した際は、感染者の使用した食器類は分けて洗浄を行うことで他の食器類が汚染することを防げます。
洗浄後は必要に応じて90℃以上の熱湯で煮沸消毒してウイルスを死滅させましょう。
感染者が触ったドアノブやトイレのレバー、嘔吐してしまった箇所は消毒を行います。
通常、消毒作業においてアルコール消毒有効とされていますがノロウイルスにアルコールは効果がないとされています。
消毒作業時には次亜塩素酸ナトリウムという塩素系消毒剤の使用がおすすめとなります。
次亜塩素酸ナトリウムの塩素系消毒剤はドラッグストアなどでも手にすることができます。
こちらは家庭にある塩素系漂白剤を薄めて使用することでも代用が可能です。
家庭用の塩素系漂白剤を0.05%~0.1%まで希釈し拭き上げることで消毒ができます。
注意点は時間が経つと塩素濃度が薄まり消毒成分が弱くなるため、一度作ったら使い切ることを心がけましょう。
※次亜塩素酸ナトリウムは金属を腐食させてしまいます。
金属部分に使用した際は薬液をしっかりとふき取りましょう。
最後に
ノロウイルスは非常に感染力が強く、集団食中毒をおこしやすい危険なウイルスです。
不顕性感染者による集団食中毒事故が起こさないためにも、ノロウイルス検査を定期的に行い感染者が調理に従事することがないように努める必要があります。
不顕性感染者は定期的な検便検査を行う事で早期発見に繋がります。
厚生労働省の集団調理マニュアルにおいても、10月~3月の間はノロウイルスの定期的な検査の実施が推奨されております。
弊社のノロウイルス検査は最短で「当日受付、当日報告」も可能な精度の高い検査を行っておりますのでぜひご活用ください。